ワイヤロープの“より”の種類と略号
ワイヤロープのより方には「普通より」と「ラングより」の2種類があります。「普通より」と「ラングより」とは、ストランドのより方向とロープのより方向によって区分されます。ロープのより方向とストランドのより方向が違うものを「普通より」、同じものを「ラングより」と呼びます。
さらに、ストランドをよる方向によって、Zより(左より)とSより(右より)があります。
普通より
普通よりは、ラングよりに比べて摩耗度合いは劣りますが、よりが戻りにくく、キンクを起こしにくいため、取り扱いやすいワイヤロープです。一般的には「普通Zより」が玉掛け作業用として用いられています。
ラングより
ラングよりは、表面に現れている素線が長く、ロープ表面が円滑であるため摩耗に強い特長があります。しかし、よりが戻りやすく、ロープが回転しようとする力が大きいため、キンクが起こりやすいという欠点があります。そのため、取り扱いには十分注意する必要があります。
[参考]「Zより」と「Sより」の組み合わせ
ワイヤロープは荷重がかかると、よりが戻ろうとする力が働きます。
そのため、クレーンのワイヤロープなどにはフックブロックの回転を防ぐために、ZよりとSよりがセットで使われています。この2種類をセットで使うことで、よりが戻ろうとする力を相殺し、フックブロックの回転を防ぐことができます。
玉掛け用ワイヤロープでも、ZよりとSよりがセットで加工されているものがあります。
「抱き合わせ加工」といい、玉掛け作業中に吊り荷の回転を防ぎたいときに利用してください。
ワイヤロープの略号
より方、より方向、めっきの有無・ロープグリースの種類については、下記のように記号で表示しています。
【左側】
O : Oil(赤ロープグリース)
C : Composition(黒ロープグリース)
G : Galvanize(赤ロープグリース)
【右側】
O : Ordinary Lay(普通より)
L : Lang Lay(ラングより)
S : Sより
※斜線(/)の左側はめっきの有無、グリースの種類を表します。ただし、めっきの場合で赤ロープグリースの時は、グリースの表示のみを省略します。
※斜線(/)の右側はより方、より方向を表します。ただしZよりは表示しません。
※グリースとは、ワイヤロープの潤滑油です。摩耗、腐食、疲労などの進行に対して効果があります。
例えば…
6×24 G/O の表示であれば
「24本線6より繊維芯入、めっき、普通Zより、赤ロープグリース」
のワイヤロープということになるわね!
ワイヤロープの略号は一般的によく使われています。選別の時に間違えないように、略号の意味を覚えておきましょう♪