ワイヤロープ

玉掛け作業にはかかせないワイヤロープですが、玉掛け作業に使えるワイヤロープはクレーン等安全規則によって、安全係数(クレーン等安全規則 第213条)と、端末処理(クレーン等安全規則 第219条)が定められています。

安全係数(クレーン等安全規則 第213条より)

玉掛け作業に使用できるワイヤロープの安全係数は6以上でなければなりません。

※安全係数とは、ワイヤロープ等の切断荷重と、使用するときにかかる最大荷重との比のことです。
(安全係数=ワイヤロープの切断荷重/そのワイヤロープにかかる荷重の最大値)

関連ページ[FAQ]クレーン等安全規則 第213条とは


端末処理(クレーン等安全規則 第219条より)


玉掛け作業に使用できるワイヤロープは、エンドレスまたは両端にフック、シャックル、リングまたはアイを備えたものでなければなければなりません。
ワイヤロープの端末加工にはアイスプライス(編み込み)加工圧縮止め(ロック)加工が用いられます。

関連ページ[FAQ]クレーン等安全規則 第219条とは


主な玉掛けワイヤロープ

主な玉掛けワイヤロープ


アイスプライス(編み込み)加工



アイスプライス(編み込み)加工とは、ストランドをワイヤロープの間に差し込んでアイを作る加工方法です。差し込み回数はクレーン等安全規則 第219条にて定められています。別名「さつま加工」とも呼ばれます。


差し込み回数

アイスプライスは、ワイヤロープのすべてのストランドを3回以上編み込んだ後、それぞれのストランドの素線の半数を切り、残された素線をさらに2回以上 (すべてのストランドを4回以上編み込んだ場合は1回以上)編み込むものとする。
クレーン等安全規則 第219条より

巻差し


巻差し

より方向に沿って編み込みます。一般的な加工方法です。


かご差し


かご差し

より方向と反対方向に編み込むため、ロープが回転してよりが戻っても、加工部分は巻差しに比べて抜けにくくなっています。加工方法は巻差しに比べて難しいです。


ロープ加工技士のラベル


アイスプライス加工の編み込みは、十分な技術および経験を有する技術者が行うことが望ましいです。労働省認定のロープ加工技士が加工したワイヤロープをおすすめします。
ロープ加工技能士が加工したワイヤロープには下記のラベルがついています。

よくある悩み「玉掛けワイヤロープは誰が加工したものでも使用していいのでしょうか?」参照。



圧縮止め(ロック)加工



アイの首部に専用の金具(スリーブ)を入れて、機械で圧縮する加工方法です。短時間で加工することができ、加工効率も安定しています。(正しく圧縮された場合。)


円筒形


ワイヤロープの端末が見えています。一般的に使われている形状です。


流線形


ワイヤロープの端末が隠れています。テーパー状にすることで、吊り荷に引掛りにくく扱いやすくなります。


加工業者の表示


金具(スリーブ)部分に加工業者の表示がある信頼できるワイヤロープを使用しましょう。


注意
金具(スリーブ)の材質は一般的にアルミ合金が使われています。
アルミ合金は海岸や海中で使用すると、塩害により溶解してロープが抜けてしまうから使用しないでください。塩害の恐れがある所で使用する場合は、鉄やステンレスのスリーブを使用してください。

玉姫

ロック加工は、シンブルを組み込んで加工する場合に適しているそうよ!アイスプライスで加工するより、圧縮止めの方が加工するときに管の部分でよく締まるからシンブルを固定しやすいんだって。
アイスプライス加工は、狭い場所にワイヤロープを通す時に適しているそうよ。圧縮止め(ロック)止めだと金具が引っ掛かって抜けちゃうと危ないしね。

玉掛けワイヤロープの加工は様々だけど特徴をいかして安全に使用しなくちゃね♪


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